【J.M.WESTON】180

【J.M.WESTON】180

Jun 03, 2022

靴修理屋あるあるの1つで同じモデルの靴が1日に複数足持ち込まれることがあります。

今回、同じ日にお持込いただいたモデルはこちらの3足。

 

前回のブログでも登場したフランスのJ.M.WESTONのアイコンの1つであるコインローファー”180”。

長年定番モデルとして人気がありましたが、ここ数年は特に目にする事が増えたなぁと思います。

見ない日の方が少ないくらいで、人気を実感します。

 

今回はこちらの3足の修理内容が異なっていましたのでそれぞれご紹介します。

 

まずはこちらから。

 

お持込みいただいた時はそれなりに履き込まれていた状態。

オールソールとまではいきませんが、所々に削れやダメージが見られましたので

今回は部分的に補修をさせていただきました。

一か所ずつアップで見ていきます。

 

まずはつま先から。

 

オリジナルと同じ革を使った継ぎ足し。

底面はオリジナルに合わせて色味を調整しますので違和感はほぼありません。

同じ素材ですから馴染みがよく、横から見てもほとんど継ぎ足しの部材がわからないほど。

なるべく元の雰囲気を大切にしたい、という方にオススメです。

Leather Toe Tips

 

 

続いてヒールもオリジナル同様にラスターヒールにて交換しました。

飾り釘も再現します。

Quater Rubber

 

 

そしてカウンターライニング補修。

通常はトップラインに新しくステッチをかけますが

ご希望の方には注意点をご理解いただいた上で接着のみで仕上げます。

Counter Lining

 

 

 

 

次はこちらの靴

 

2020年より始まったWESTON VINTAGE プログラムの1足。

サステナビリティの一環として着用しなくなった靴を下取りし

修理を施した後に次の世代に繋げる事をコンセプトとしたプログラムです。

 

 

アッパーは程よく履き込まれ、いい味が出ていますが

純正のオールソールがされていました。

創業の地であるリモージュの工場にて修繕されているそうでウエストにはベルマークが見られます。

 

ユニオンワークスではこちらの靴に事前補強としてヴィンテージスティールを付けさせていただきました。

 

 

つま先の補強として最も強度が高いヴィンテージスティール。

革やラバーと比べて爪先の減りをあまり気にしなくてよい点が持ち味の材料です。

シングルソールでしたら1度装着すると大体はオールソールまで持ち堪えてくれます。

つま先の減りをあまり気にしたくない方にオススメです。

Vintage Steels

 

最後にこちら

 

お持込み時はソールに穴が空いていましたのでオールソールさせていただきました。

 

 

仕様はオリジナル同様にレザー素材ですが、所謂ウエストンチャネルとは異なるメスステッチにて仕上げました。

オリジナル通りに再現ももちろん可能ですが、なるべくコストをかけたくない方にはこちらの仕様もオススメです。

Leather All Soles Plan B

Leather All Soles Plan C

 

 

エッジもビシッとしています。

 

 

レザーソールの場合はアゴ付近にサイズの刻印を打たせていただきます。

ちょっとした事ですが、この刻印もウエストンらしさの1つ。

オールソールをしたお客様からも評判が良いです。

 

 

以上、WESTON”180”の修理についてのご紹介でした。

 

お持込みいただきました靴の状態やお客様のご意向をお聞きした上で

修理方法をご提案させていただきます。

修理ご依頼の際はご遠慮なくご質問ください。

 

ありがとうございました。

横浜店 シン